「分配のねじれ」の核心に迫る
本書は、日本企業が利益を生み出せなかったのではなく、「生み出した利益の配分が変化したこと」こそが、実質賃金低迷の根本原因であると指摘しています。財務省の「法人企業統計調査」をはじめとする統計データを徹底的に分析し、その実態を明らかにしているのです。
具体的な分析結果として、大企業(資本金10億円以上)における1997年を100とした各経済指標の推移が示されています。売上高がほぼ横ばいで推移する中で、経常利益は大幅に増加しました。しかし、その増加した利益は、従業員の賃金や将来の成長に向けた設備投資には十分に回らず、実質賃金は低下傾向にあり、設備投資も伸び悩んでいる現状が浮き彫りになります。
一方で、株主への配当金は、なんと約10倍にまで拡大しているというのです。この数字の動きは、企業が生み出した成果が、従業員への分配や将来の成長に向けた投資よりも、株主還元へと優先的に配分される構造が強まってきたことを明確に示していると言えるでしょう。

皆さんも、このグラフを見て、どう思われますか?私自身も、この数字の動きには驚きを隠せません。企業が儲かっても、私たちの生活が豊かにならないと感じる「違和感」が、このデータによって具体的に説明されているのですね。
ROE至上主義がもたらしたもの
本書では、近年進められてきたコーポレートガバナンス改革やROE(自己資本利益率)重視経営についても深く踏み込んでいます。株主利益最大化を目指す経営が、
-
人件費抑制
-
設備投資削減
-
自社株買いの増加
-
短期利益偏重
といった動きを促してきた可能性が検証されています。数字上の効率性を追求する一方で、日本企業が長期的な成長力や人材への投資を失ってきたのではないか、という問題提起は、私たち一人ひとりの未来にも関わる重要な問いかけだと感じます。果たして、この経営のあり方は、本当に私たち日本の未来にとって最善なのでしょうか?
「失われた30年」の真実と未来への提言
本書は単なる現状分析にとどまらず、企業利益の増加が賃金上昇や国内投資につながらなくなった理由を解き明かした上で、企業が生み出した利益を人材育成、賃金、設備投資へと循環させるための具体的な策を提示しています。さらに、株主利益の最大化だけを追求する経営から脱却し、企業の持続的成長と社会全体の豊かさを両立させる「新しい日本型資本主義」の可能性を提言している点が、非常に心強く感じられます。
著者である相川清氏は、「失われた30年、日本で起きてきたことは自然現象でも、避けがたい運命でもない。いまの分配のかたちは制度や政策によってつくられてきた。であるならば、それらを問い直すことで、未来を変えることも可能なはずだ。本書が、賃金が上がらない日本の現実を、あきらめでも感情論でもなく、構造の問題として見つめ直すための一助になれば幸いである。」とコメントされています。この言葉に、本書が持つ強いメッセージが凝縮されているのではないでしょうか。
九州大学大学院教授の施光恒氏も、「実務と理論、経済と政治を架橋する本書は、多くの読者に新たな視座を提供するはずだ。」と推薦されています。この一冊が、私たちの経済に対する見方を変え、より良い未来を考えるきっかけになることを期待せずにはいられません。
書籍情報と購入案内
この重要なテーマを深く掘り下げた本書の詳細は以下の通りです。

-
書名:『なぜ会社は儲かっても人を豊かにできないのか ROE偏重による分配・企業統治の歪みを可視化する』
-
著者:相川 清
-
発売日:2026年6月23日
-
出版社:方丈社
-
定価:2,420円(税込)
-
仕様:A5判並製・オールカラー・288頁
-
ISBN:978-4-910818-40-5
購入を検討されている方は、以下のリンクから詳細をご確認いただけます。
皆さん、いかがでしたでしょうか?
私KENSAKUも、この本を読んで、日本経済の構造をより深く理解し、これからの社会や企業のあるべき姿について、一緒に考えていきたいと強く思いました。この一冊が、皆さんのこれからの働き方や、社会との関わり方を考える上で、きっと大きなヒントを与えてくれるはずです。ぜひ、手に取って読んでみてくださいね!
それでは、また次回の注目ネタでお会いしましょう!
編集長 KENSAKU

