業務の6割は「人主導」という現実
13の業務についてAIの活用方法を尋ねたところ、平均で61.2%が「人が主体で実施する」(AIは不使用または補助)と回答し、「AIが主体的に実施する」(人は確認・最終判断のみ、または関与なし)とした回答は38.8%にとどまりました。

AIの活用が進む一方で、業務の主導権はいまだに人が握っていると考える人が多いのですね。皆さんの職場では、AIはどのくらい業務を主導していますか?この数字は、意外に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
AIに任せやすい業務、人が手放さない業務
具体的にどのような業務でAI活用が進んでいる、あるいは人が主導すべきと考えられているのでしょうか。


AIが主体的に実施してよいという回答が多かったのは、「議事録作成」(44.7%)、「データ分析」(44.0%)、「情報の整理」(43.8%)でした。一方で、「人が主体で実施すべき」という回答が多かったのは「課題の整理」(AI主体回答25.3%)、「最終的な意思決定」(同33.5%)、「社内報告(上司・役員)」(同35.2%)です。

なるほど、情報を扱う実務領域ではAIの活用が比較的容認されている一方、構想や対人関係、そして最終的な意思決定が伴う業務では、人が主体を担うべきだと多くの人が考えているのですね。これは納得できる部分も多いのではないでしょうか。皆さんは、どの業務をAIに任せたいですか?
また、「自分の仕事がAIに代替されることについて、どの程度懸念しているか」という問いに対しては、「懸念している」が43.6%、「懸念していない」が44.2%と、ほぼ拮抗する結果となりました。

AIに仕事を奪われることへの懸念が、これほど拮抗しているとは驚きです。皆さんは、ご自身の仕事がAIに代替されることについて、どのように感じていらっしゃいますか?
役職、業種、世代、勤務形態で見るAI活用の意識差
この調査では、回答者の属性による意識の違いも浮き彫りになりました。
役職が上がるほどAI活用を容認する傾向、しかし役員層では急落
一般社員から部長までは役職が上がるほどAI活用を容認する回答が増加しましたが、役員層では一転して部長よりも回答割合が低下しました。これは、現場に近い管理職層ほどAI活用への態度が明確になりやすい一方で、経営層はより慎重な見方をしている可能性を示唆しています。
役職が上がるほどAI活用に寛容になるかと思いきや、役員層で再び慎重になるのは興味深いですね。経営層ならではの視点があるのかもしれません。
業種別では金融が最も前向き、医療・介護は最も慎重
金融業ではAIが主体的に実施してよいとする回答が最も多く、逆に医療・介護は最も低い結果となりました。これは、正確性やスピードが求められる業務でのAI活用が進む金融業と、対人ケアが中心となる医療・介護分野の特性を反映していると考えられます。

金融業の積極性と、医療・介護の慎重さ。業種によって、AIとの付き合い方がこれほど違うのはなぜでしょう?それぞれの業務特性が大きく影響しているのでしょうね。
世代によって「AIに委ねられる範囲」は最大5倍の差
「最終的な意思決定」をAIが主体的に行ってよいとする回答は、20代で59.1%にのぼる一方、50代ではわずか12.1%と、世代が上がるにつれて低下する傾向が見られました。また、AIに仕事を奪われることへの懸念も、20代が67.5%と最も高く、50代の26.5%とは大きな開きがあります。

20代の皆さんは、AIに意思決定を委ねることに最も前向きでありながら、同時に仕事を奪われることへの懸念も最も強い。これは、AIの可能性と限界を最も肌で感じている世代だからこその、複雑な感情の表れかもしれませんね。
勤務形態によってもAI活用への態度は20ポイント以上の差
出社中心の社員に比べ、ハイブリッド勤務者やフルリモート勤務者の方がAI活用を容認する回答が20ポイント以上高くなりました。しかし、AIに仕事を奪われる懸念については、ハイブリッド勤務者が最も高く、フルリモート勤務者が最も低いという、単純ではない結果も見られました。

リモートワークやハイブリッド勤務の方々がAI活用に積極的なのは、場所にとらわれない働き方とAIの親和性が高いからでしょうか。ただ、ハイブリッド勤務者が最も懸念を抱いているという点は、もう少し深掘りして考えてみたいところです。
AI活用の次の論点は「間接業務からコア業務へ」
株式会社チェンジホールディングス上級執行役員であり、株式会社チェンジ代表取締役社長の野田知寛氏は、この調査結果から「AIはもはや単なる効率化の手段ではなく、人が取り組むべき仕事を再定義する存在として捉えられ始めている」と考察しています。

これまで議事録作成やデータ分析といった間接業務を中心に進んできたAI活用は、今後、企画立案や課題解決といった企業の競争力を左右する「コア業務」へどう組み込むかが重要なテーマになるとのことです。
AIが単なる効率化ツールではなく、私たちの仕事そのものを再定義する存在になりつつある、という考察は非常に示唆に富んでいます。これからの時代、私たちはAIとどう協働し、より価値のある仕事を生み出していくべきか、真剣に考える時期に来ているのかもしれませんね。
調査概要
調査名: 人とAIの「線引き」に関する意識調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年7月3日〜2026年7月10日
調査対象:20〜59歳の全国の会社員・役員1,104名
今回の調査は、AIが私たちの働き方に与える影響の多面性を教えてくれました。前回調査(「企業の AI 活用が 働き手のキャリア判断に与える影響」)の結果も合わせてご覧いただくと、より深く理解できるかもしれません。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!編集長のKENSAKUでした。


